Ｈ薬局は調剤併設のドラッグストアとして20年近く運営されてこられた薬局です。郊外の乗降客の多い乗換駅が最寄駅であることから、駅前の商業施設が大規模に開発されており、周辺人口も増加していましたが、それ以上に競合するドラッグストアも増えてここ数年ＯＴＣ部門はずっと赤字という状態でした。

至近にある処方元クリニックから患者さんが安定的に来ており、調剤部門は黒字で推移していましたが、合計で６０坪近くのある店舗の賃料負担が非常に重くのしかかっており店舗損益は若干の赤字となっていました。
加えて薬局開設時から管理薬剤師として勤務されていた方も７０歳と高齢のため引退をという話が出たことから、今後代替人員を採用して運営していくよりは、譲渡してしまったほうが良いだろうという話になり、譲渡を決断されたのでした。

現状の枚数、技術料からするとＯＴＣ部門を閉鎖し、調剤薬局のみで運営していけるのであればまだ十分にやっていける数字でしたが、店舗を区分けして半分だけ借りるという話は大家さんが認めてくれません。余剰となる売場スペースを上手く活用しつつ、全体の収支を黒字化できるお相手を探す必要がありました。
６０坪というスペースと家賃がネックとなり、すぐにはお相手が出てきませんでしたが、最終的に商店街の入り口の角地という好立地を生かして、少し業態を変えてコンビニ併設型の薬局として取り組んでみたいという中堅薬局チェーンＡ社に引き受けて頂くことになりました。Ａ社はフランチャイジーとして調剤薬局併設型のコンビニエンスストアの運営をしていくことになり、Ｈ薬局は全く新しいタイプの薬局として生まれ変わる形で引き継がれることになったのでした。

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