Ｓ社は千葉県にある食品スーパーマーケットで２店舗を運営している会社です。昨今の個人消費の低迷と過熱化する安売り競争の激化により採算も悪化しており、事業（店舗）の売却を模索されていました。店舗のあるエリアは東京のベットタウンに位置する住宅地で人口も増加傾向にあったことから、ここ数年でスーパー数社も出店攻勢をかけており、非常に競合店が多くなっていました。

競合が激しいという問題はあったものの足元の商圏世帯数はそれなりにあったので、買い手は見つかる可能性があると判断し、ご依頼をお受けしました。食品スーパーは非常に得意とする業種のひとつで、これまでにも数多くのＭ＆Ａをお手伝いしており、提携パートナーのリテイルマーケティング研究所（http://www.rmi21.com/）をはじめとした情報ネットワークを構築しています。

しかしながら昨今の経済情勢の影響で厳選した立地以外の出店は控えている企業が増えているため、当該エリアで出店可能性のある食品スーパーを中心に数多く打診してみたものの、残念ながら興味を示す会社は現れませんでした。食品スーパー以外で少し業態の違う会社にも打診を始めてみたところ程なく、業務スーパーをＦＣ展開して店舗網を拡大しているＡ社が興味を示し、３か月間ほどの諸条件の調整を経て成約に至りました。

流通業界を取り巻く環境は劇的に変化しています。私がＭ＆Ａの仕事を始めた頃（１２年前になります。）は、まだまだ元気のあった食品スーパーも、昨今は一部の勝ち組企業以外は軒並み厳しい環境下におかれています。Ｓ社社長もこれ以上食品スーパー事業を続けていても、良い方向に向かうことはないということで今回のご決断をされました。相手先探しは難航しましたが、最終的に無事お手伝い出来て良かったです。

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